ガマリエルによる説得法

【日々のレーマ】

使徒の働き、5章35節より
イスラエルの皆さん、この者たちをどう扱うか、よく気をつけてください。

【追記】

ガマリエルは、青年サウロ(後のパウロ)に律法のいろはを教えた教師です。(使徒の働き、22章3節より) 

その意味で、初期キリスト教会と不思議な縁のある人物です。

そのガマリエルが人々を納得させるために用いた説得法は、人として学ぶ点があります。

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一言でいうなら、ガマリエルの説得法は、どちらにも肩入れしません。

そして、事実と、公平な立場に基づいて語るというものです。

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その箇所を、使徒の働きの記録から、順番にみていきましょう。

ペテロと使徒たちは、主の宮であるエルサレム神殿で福音を伝えていたところを捕らえられます。

ペテロたちは、最高法院の議場で裁かれます。

尋問者である大祭司は、ペテロたちの振る舞いを批難します。

それに対するペテロの答えは、こうです。

「人に従うより、神に従うべきです。私たちの父祖の神は、あなたがたが木にかけて殺したイエスを、よみがえらせました。神は、イスラエルを悔い改めさせ、罪の赦しを与えるために、このイエスを導き手、また救い主として、ご自分の右に上げられました。私たちはこれらのことの証人です。神がご自分に従う者たちにお与えになった聖霊も証人です。」(使徒の働き、5章29節~32節より)

ペテロの答えは、キリスト者であれば、深く納得するものです。

しかし、その場の群衆は、まっとうな答えであるほど、逆に怒り狂うことになります。

群衆の狂気はどんどんエスカレートし、今にもペテロを殺さんばかりです。

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それをみていたガマリエルは、いきなり立ち上がり、こういいます。

 先ごろテウダが立ち上がって、自分を何か偉い者のように言い、彼に従った男の数が四百人ほどになりました。しかし彼は殺され、従った者たちはみな散らされて、跡形もなくなりました。(使徒の働き、5章36節より)

彼の後、住民登録の時に、ガリラヤ人のユダが立ち上がり、民をそそのかして反乱を起こしましたが、彼も滅び、彼に従った者たちもみな散らされてしまいました。(使徒の働き、5章37節より)

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これらの顛末は、最近あった事実です。誰も知る事実なので、その場に異論は出ません。

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続けて、ガマリエルは、こういいます。

もしその計画や行動が人間から出たものなら、自滅するでしょう。しかし、もしそれが神から出たものなら、彼らを滅ぼすことはできないでしょう。もしかすると、あなたがたは神に敵対する者になってしまいます。(使徒の働き、5章38節~39節より)

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ここまで、ガマリエルは、公平な立場で、どちらにも肩入れしていません。

仮にです。ガマリエルが、ペテロたちを助けたいと考え、ペテロたちに肩入れしたら、どうなっていたでしょう。

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ガマリエルの説得法は、どちらにも肩入れせず、事実と公平な立場に基づいて語るものでした。

それゆえに、群衆の狂気は静まり、ペテロたちは殺されずに救われました。