《人間の自由責任》と《歴史の可能性》

【本日のリマ】

列王記第一12章24節
あなたがたの兄弟であるイスラエルの人々と戦ってはならない。それぞれ自分の家に帰れ。わたしが、こうなるように仕向けたのだから。

【追記】

列王記第一の11~12章は、イスラエル王国が南朝ユダと北朝イスラエルに分裂する原因と経緯が書かれています。

まず、原因はソロモン王でした。ソロモンは多くの異国の女を王妃と側女にしました。

ソロモンが年をとったとき、その異国の妻たちが彼の心を異国の神々(神ならぬもの)に向けます。

ソロモンは、異国の妻たちに従って、数々の偶像を山の上の高き所に築きます。

異国の妻たちは、自分たちの偶像に香をたき、いけにえを捧げるようになります。

主なる神様は、この悪行に対してソロモンに二度まで警告を与えます。しかし、ソロモンはこの警告に従いませんでした。

そこで、神様は、ソロモンに対して、次の代に王国を2部族と10部族に引き裂いて、10部族をソロモンの家来に与えると最終警告をします。

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その最終警告は、ソロモンの子レハブァムが王になったときに現実になります。

ソロモンの家来だったヤロブァムが反乱を起こして、ユダ族とベニヤミン族からなる南朝ユダと、残りの10部族からなる北朝イスラエルに王国は分裂します。

ここまでは、神様が《わたしが、こうなるように仕向けたのだから(列王記第一12:24)》と言われています。そのことから、王国の南北分裂は、ソロモンによる偶像崇拝の罪が原因となって、神様が予定されたことと分かります。

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その260年ほどの後に、北朝イスラエルは、アッシリヤによって滅び、10部族は歴史から消えることになります。

神様は、王国の南北分裂のときに、北朝イスラエルの滅亡を予定していたのでしょうか。

いいえ、神様は、南北分裂した北朝イスラエルについても祝福を与えていました。最初から滅亡を予定していませんでした。それは、神様が、北朝イスラエルの初代王になるヤロブァムに語っていた次の言葉から分かります。

もし、わたしが命じるすべてのことにあなたが聞き従い、わたしの道に歩み、わたしのしもべダビデが行ったように、わたしの掟と命令を守って、わたしの目にかなうことを行うなら、わたしはあなたとともにいて、わたしがダビデのために建てたように、確かな家をあなたのために建て、イスラエルをあなたに与える。このために、わたしはダビデの子孫を苦しめる。しかし、それを永久に続けはしない。(列王記第一11:38-39)

このように神様の視点からは、人間が正しくあるという《自由責任》を果たしていれば、イスラエルの全部族が再び統一される《歴史の可能性》が残されていたものとわかります。