旧約聖書の主人公

【日々のレーマ】2022年9月10日(土)

創世記 44:18
すると、ユダが彼に近づいて言った。「ご主人様。どうか、しもべが申し上げることに、耳をお貸しください。

※)ユダは、ヤコブの息子ユダのこと。ユダ族の祖であって、裏切り者ユダとは別人です。
※)ユダが、エジプトの宰相になった弟ヨセフに対してお願いをする場面です。

【追記】
ヨセフは、兄たちに憎まれたことで、奴隷としてエジプトに売られます。
ヨセフは、奴隷の身分から出発し、エジプトの宰相にまで出世します。
このように旧約聖書を読むと、ヨセフ一代の出世物語になります。

しかし、旧約聖書の本来の主人公は、イエス様であって、そのイエス様の系譜に連なる人々とも考えられます。
旧約聖書が綴る歴史の目標が、来るべきキリスト(イエス様)だからです。

この時代のイエス様の系譜上の人物は、ユダ族の祖ユダに当たります。
出世物語の主人公であるヨセフは、イエス様の直接の系譜からは離れます。

そこで、別の読み方として、もう一人の主人公であるユダの行動をピックアップしてみます。

(1)ユダは、弟ヨセフを殺そうとする兄弟たちを説得し、ヨセフを奴隷商人に売ることでヨセフの命を救います。このユダの行動が直接の原因になって、ヨセフはエジプトに入ることになります。

(2)飢饉7年の1年目、ユダたちは、食糧調達のためにエジプトに行きます。このとき、正体を隠した弟ヨセフから、次回は末の弟ベニヤミンを連れてくるように命じられます。

(3)飢饉7年の2年目、ユダたちは、食糧調達のためにエジプトに再び行きます。このとき、弟ベニヤミンの同行を父ヤコブに懇願したのは、ユダです。父ヤコブと子ユダの一体化です。もしもユダの行動がなければ、弟ベニヤミンのエジプト同行はかなわず、ヨセフの元に再び行くこともできなかったでしょう。

(4)ヨセフは、弟ベニヤミンの荷物に銀の杯を忍ばせて、ユダたちに盗人の言いがかりをつけます。ユダは、ベニヤミンを失ったら父ヤコブが生きていけないことを、ヨセフに懇切に訴えます。ユダは、自分がベニヤミンの代わりに奴隷になる覚悟です。ユダの命がけの謝罪がなければ、ヨセフが父ヤコブの本心を理解することはなかったでしょう。

(5)ユダの命がけの謝罪に感動したヨセフは、自分が弟であることをついに告白します。兄弟の一体化です。そして、ヤコブの一族(イスラエル)は、創世記の終わりにエジプトに移住することになります。

もしも、ユダの行動がなかったら、ヨセフがエジプトで宰相になることも、ヤコブの一族が飢饉7年を乗り越えることも、イスラエル民族がエジプトに入ることもなかったでしょう。

こうやってユダの行動を辿ってみると、ユダを中心人物とした神様のご計画があったことが分かりますね。

聖書を読む上では、表面的な主人公とは別に、イエス様の系譜関連の主人公を探してみるのもよいと思います。もう一つの真実が見えてくるかもしれません。ご参考までです。