アブサロムの悲劇

【日々のレーマ】2022年9月14日

サムエル記第二 18:18
アブサロムは生きていた間、王の谷に自分のために一本の柱を立てていた。

【追記】
アブサロムは、ダビデ王の三男です。
そのアブサロムは、とある兄弟間の事情から長兄アムノンを殺します。

ダビデは、わが子二人を一度に亡くすことはできないと、アブサロムを死刑にできませんでした。
実は、アブサロムの命を救った背景には、臣下ヨハブの並々ならぬ尽力がありました。
アブサロムにとって、臣下ヨハブは命の恩人です。

なお、ダビデは、アブサロムを城の外に留め置き、自分からは会おうとしませんでした。
ダビデとしては、アブサロムに対して『辛抱して時を待て』というつもりだったと思われます。

しかし、息子アブサロムは、父ダビデの心情を理解できません。
アブサロムは、ダビデの臣下ヨハブの畑を焼き払って、ダビデに取り次ぐように脅迫します。
脅迫された臣下ヨハブは、ダビデがアブサロムに会う約束を取り付けるのです。

ダビデは、久しぶりに再会したアブサロムをかき抱いて、口づけします。
ダビデは、愛するわが子を目の前にして、親の気持ちが抑えられなかったのです。

アブサロムは、そんなダビデの姿をみて、自分の位置を過信します。
アブサロムは、全国に対して自分が新しい王になったと宣言し、ダビデの王国に謀反を起こします。

ダビデは、アブサロムの謀反を討伐するための軍を出します。
しかし、ダビデは、『私に免じて若者アブサロムは緩やかに扱ってくれ』と臣下に命じます。

その謀反の戦いのさなか、アブサロムは木の枝に引っ掛かり宙づりになります。彼は腰ほどの長い髪だったので、長髪が枝に絡まったのでしょう。

このとき、近くにいたのは、アブサロムからひどい仕打ちを受けた臣下ヨハブでした。
臣下ヨハブは、ダビデの命令に背いて、息のあったアブサロムの心臓をやりで突き刺して息の根を止めます。

一方、ダビデは、『わが子アブサロムが生きて戻った』と何度も言っては、戦場から帰る人を迎えていました。

しかし、ダビデが聞いたのは、アブサロムの死でした。
ダビデは、アブサロムの死を聞いて、身を震わせて泣きます。

もしも、アブサロムが、父ダビデの心情を理解して、自分の位置で謙虚にしていたら・・・
さらに、かつて命の恩人であった臣下ヨハブにひどい仕打ちをしなければ・・・
こんな悲劇は避けられたかもしれません。

サムエル記を通して、父子の心情一体化は、時を超えて系譜をつなぐために大切だと教えられる話です。